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第7章 会計から見たキャラバン

 

第1節 イベント業者への委託

 

当初実際にJOY−VANを当事者に見てもらう為に、キャラバンの実施が不可欠であるということが決定されたが、ナンバーの付かないことも想定されたため、全国10ヶ所の自動車教習所を借りてキャラバンを行うこととなった。
10ヶ所のキャラバンはイベント業者に企画・運営を委託し、その予算は9,700,000円となった。1ヶ所あたり970,000円であるが、一般的に言えば高額であるが、なぜこのような金額を支払ってまで業者に委託しなければならなかったのか。それは、イベント開催に関してのノウハウがこちらに全くなかったからである。業者に委託することによりイベントの形ができ、Joy Projectという団体が社会性のある団体であると認識され、各テレビ局・新聞社が記事として取り上げてくれた。そのことによってJoy Projectの活動及びJOY−VANが全国に周知されることを狙ったのである。
業者に委託してのキャラバンが4ヶ所終了したところで、我々でもイベントができるようになり、また4ヶ所終了時にはすでに4,000,000円以上もキャラバン経費としてかかってしまっていた。また、6月末にはJoy Projectが企画したキャラバン開催地10ヶ所に加え、当事者からの要請によってキャラバン会場が30ヶ所近くにまで膨れ上がり、このままのやり方ではキャラバンを続けることが財政的に不可能という判断のもとに、Joy Projectのスタッフと各地のボランティアを要請して行うことにした。ただし、当初こちらで決めた10ヶ所のうちの残り6ヶ所についてはメディアの取材も予想されたため司会者だけは使うことにした。なぜかと言えば、司会だけは特別の技術を必要とするからである。

 

第2節 依頼されたキャラバンの内容

 

全国32ヶ所からのキャラバンの依頼については、Joy Projectが民間団体ということもあり、財政的に余裕がない旨を伝え、キャラバンの実施に伴う実費の負担をお願いした。その中で、岩手県身体障害者福祉協会と当事者団体の自立支援センターちくまは実費を負担してくれた数少ない団体であった。特に自立支援センターちくまは、キャラバンの盛り上がりも有り手応えを感じたところと聞いている。
次に熊本・釧路・新潟・郡山・埼玉は実費の折半もしくは三分の一を負担してくれ、佐世保・大分・八王子については心付けを頂いた。残り22ヶ所はこちらの全面負担のもとにキャラバンが行われた。日本での障害者運動の歴史的経緯として、このような活動をするのはボランティアでするのが当たり前という意識と、財団がお金を出しているのだからという思いがあるように思われる。
しかし、当初日本財団の受託金の予算として、キャラバン経費が9,700,000円であったが、実際には16,000,000円になり、それはほぼ日本財団からの受託金の総額に匹敵するものであった。

 

 

 

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